国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
マルスの空色の瞳には、沢山の星が瞬いていて、涙で潤んでいるように見える。
・・流れ星か。
久しぶりに見たな。
マルスは、ほんのわずかにそよいでいる風を受けて、静かにまぶたを下ろした。
そのまぶたには、動揺を隠し切れない先刻のアニウスの姿が浮かぶ。
わざわざ俺ではなく“私”という言葉遣いをしたのも、マルスなりに考えてのことだった。
マルスは、決して伯父が嫌いではなかった。
父がいなくなった後、自分や母を支えてくれたのは、紛れもなくアニウスその人だ。
王として飾り物でやってこれたのも、彼が国政を取り仕切っていたからに違いない。
しかし、マルスの両の眼(まなこ)は、すでに開いてしまった。
真実という、きわめて残酷で恐ろしい現実を見抜く賢者の眼を。
・・まさか伯父上が、民から集めた税を懐に入れているとはな。
積極的に領地の見回りをすれば、さまざまなことが耳に入ってくる。
重臣会議で聞く、自分への報告とはまったく違う民の声。
いったんそれを意識してしまうと、もう後戻りはできない。
何も知らなかった頃のように、伯父にたいして敬愛の念を抱くことは無理だった。