国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

マルスの空色の瞳には、沢山の星が瞬いていて、涙で潤んでいるように見える。



・・流れ星か。

久しぶりに見たな。



マルスは、ほんのわずかにそよいでいる風を受けて、静かにまぶたを下ろした。

そのまぶたには、動揺を隠し切れない先刻のアニウスの姿が浮かぶ。


わざわざ俺ではなく“私”という言葉遣いをしたのも、マルスなりに考えてのことだった。


マルスは、決して伯父が嫌いではなかった。

父がいなくなった後、自分や母を支えてくれたのは、紛れもなくアニウスその人だ。

王として飾り物でやってこれたのも、彼が国政を取り仕切っていたからに違いない。


しかし、マルスの両の眼(まなこ)は、すでに開いてしまった。

真実という、きわめて残酷で恐ろしい現実を見抜く賢者の眼を。



・・まさか伯父上が、民から集めた税を懐に入れているとはな。



積極的に領地の見回りをすれば、さまざまなことが耳に入ってくる。

重臣会議で聞く、自分への報告とはまったく違う民の声。


いったんそれを意識してしまうと、もう後戻りはできない。

何も知らなかった頃のように、伯父にたいして敬愛の念を抱くことは無理だった。



< 282 / 522 >

この作品をシェア

pagetop