国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
星に誘(いざな)われるように、レアは部屋を出て、回廊を歩き始めた。
頭を冷やして、じっくりとこれからのことを考えたかった。
部屋の中ではわからなかったが、今夜の月は、天空のはるかな高みからこちらを見下ろしている。
ずいぶんと明るいので、レアは手燭がなくても、歩くのに困らず、ふと、既視感を覚えた。
確か、マルスと初めて会ったのも、こんな月夜だった。
レアは、回廊を歩きながら、あの懐かしい場所にもう一度行ってみたくなった。
ほんの、半年ほど前のことなのに、もう何年も昔のことのように思える。
だが、その場所は、王族の禁域。巫女が勝手に入ることを許されない場所だ。
ほんの少し。遠くから見るだけなら・・。
レアは、足元を確認しながら、マルスと出会った花園が見える場所を目指した。
あの時見た白い花は、すでに今はなく、夏を思わせる、黄色い大輪の花が、群れ咲いている。
・・マルス様。
あとほんの何十歩か踏み出せばあの場所に立てる。
だが、レアには、それはできない相談だった。