国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

夢にまで見た愛しい女が目の前にいると言うのに、

まるでくいで打たれたように、マルスは、その場から一歩も動けずにいた。


レアは、固まったマルスを見据えたまま、震える足であとずさる。


「待つんだ、レア!」


マルスは、置き去りにされる子供のような、必死の形相で、レアをなんとかひきとめようとする。


ほんの数十歩。

手を伸ばせば届きそうな距離にいるというのに、レアは、自分を受け入れようとしない。


走れば捕まえられる。そう思い、マルスは、前かがみになって、駆け出そうと姿勢を整えた。


「だめです。来ては・・・だめ」


レアの瞳は、大きく揺れ動いて、月の光に反射しているように見える。



・・泣いているのか?



マルスは、なんとしても、レアをこの腕に抱き寄せたかった。

そうしないと、この儚げな月の女神は、このまま消えてしまいそうな気さえする。










< 302 / 522 >

この作品をシェア

pagetop