国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

わずかな間をおいて、レアは、濡れた瞳で、透明な笑顔を見せた。



「では、


私は、磔(はりつけ)にされなくてはなりませんね。


神に仕える身でありながら、


こんなにも、


一人の男性に心惹かれるなど」


レアの澄んだ声が、濁りのない水のように染み込んで、潤していく。

マルスの耳を、体を、そして心を。



「レア・・・」



レアの震える華奢な体を、壊れ物を扱うように、やさしく抱き寄せる。



・・俺は、夢を見てるのではないだろうな。



上着などなくても、マルスの心は春の陽だまりのように、穏やかで暖かだった。











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