国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

ホーエンは、急ぎ足のマルスの前に躍り出て、そのまま立ち止まった。

むっとしたマルスが、ホーエンを避けようと、右に動くと、

ホーエンも、それを邪魔するように体を移動する。

マルスが左に動くと、やはり同じ方向へ体を移動して、立ちふさがった。


ちっ、と軽く舌打ちをして、目の間に聳え立つ、巨大な壁に話しかける。


「何のまねだ?」


「どこへ行かれるおつもりですか?」


「議場に決まっているだろう。重臣たちと話し合わねば」


「わかっているはずです。議場には、誰もいない」


「そんなこと、わからんだろう」


「いいえ!!」


ホーエンのその声は、いまだかつて、聞いたことのないほど、感情の篭ったものだ。

無口な上に、話しかけても、

はい、か、いいえ、くらいしか返事をしたことがない。

賊に襲われたときでさえ、怒ったような普段の顔そのままで、

何の感情も見せずに、剣を振るって、マルスを守っていたのに。


< 375 / 522 >

この作品をシェア

pagetop