国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
ホーエンは、急ぎ足のマルスの前に躍り出て、そのまま立ち止まった。
むっとしたマルスが、ホーエンを避けようと、右に動くと、
ホーエンも、それを邪魔するように体を移動する。
マルスが左に動くと、やはり同じ方向へ体を移動して、立ちふさがった。
ちっ、と軽く舌打ちをして、目の間に聳え立つ、巨大な壁に話しかける。
「何のまねだ?」
「どこへ行かれるおつもりですか?」
「議場に決まっているだろう。重臣たちと話し合わねば」
「わかっているはずです。議場には、誰もいない」
「そんなこと、わからんだろう」
「いいえ!!」
ホーエンのその声は、いまだかつて、聞いたことのないほど、感情の篭ったものだ。
無口な上に、話しかけても、
はい、か、いいえ、くらいしか返事をしたことがない。
賊に襲われたときでさえ、怒ったような普段の顔そのままで、
何の感情も見せずに、剣を振るって、マルスを守っていたのに。