国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

マルスは、ごくりとつばを飲んだ。

悪魔が、極上の甘い唇で囁く。


レアに誘惑されたと言えばいい。

クリナリア祭は、失敗だったと言えばいい。

炎が広がったのは、レアに神の怒りが落ちたせいだと言えばいい。

飢饉は、そのせいでおきたのだから、

自分には、何の責任もないのだと言えばいい。


実にうまいことに、彼女は、兄と密会した罪で、牢に捕らえられているではないか。

そうだ。

あの女は、自分の妻になると約束しておきながら、ここから逃げ出そうとしたのだ。


罪悪感を感じる必要はない。

裏切ったのは、むこうが先。


あとは、今、王宮にある非常用の蔵を開放して、食物を供給すれば、

とりあえず、この場はしのげるだろう。


自分が傷を負うことも、民衆が傷を負うことも避けられる名案ではないか。







< 378 / 522 >

この作品をシェア

pagetop