国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
マルスは、ごくりとつばを飲んだ。
悪魔が、極上の甘い唇で囁く。
レアに誘惑されたと言えばいい。
クリナリア祭は、失敗だったと言えばいい。
炎が広がったのは、レアに神の怒りが落ちたせいだと言えばいい。
飢饉は、そのせいでおきたのだから、
自分には、何の責任もないのだと言えばいい。
実にうまいことに、彼女は、兄と密会した罪で、牢に捕らえられているではないか。
そうだ。
あの女は、自分の妻になると約束しておきながら、ここから逃げ出そうとしたのだ。
罪悪感を感じる必要はない。
裏切ったのは、むこうが先。
あとは、今、王宮にある非常用の蔵を開放して、食物を供給すれば、
とりあえず、この場はしのげるだろう。
自分が傷を負うことも、民衆が傷を負うことも避けられる名案ではないか。