国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
雨は小降りになることもなく、夕方になってますます強く降り始めた。
王宮のすぐ間近まで、見渡す限り、人の波で埋め尽くされている。
老若男女問わず、手に手に鍬や鎌を持ち、
雨に濡れるのもかまわず、口々に何か叫びながら。
それと対峙するように、王宮を守る兵士が、石塀の上に一定の間隔で、民衆を見下ろすように立っている。
その手には、弓が構えられているが、それを放つ命令は、まだおりていなかった。
お互い、一触即発の様相を呈したまま、こう着状態に突入したようだ。
その中を、ゆっくりと王宮に向けて馬の歩を進める一人の男がいた。
民衆は、彼に気付くと、譲るように、争って次々と道をあけた。
・・あれは、ランド将軍?!
兵士の一人が、さっと顔色を変えた。
馬に騎乗した、体躯のいい初老の男。
それは、南の地方都市トーラを治めていた、ランド将軍であった。
・・馬鹿な!
ランド将軍は、トーラで起こった反乱を、見事な手腕で収めた人物だぞ?!
兵士が狼狽する間にも、ランド将軍は、王宮との距離を詰め、
ついに王宮の門に達したとき、朗々と謳い上げるような声が、あたりに響いた。