国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
ちょうど、太陽が水平線を昇りきったとき、レアは、最後の一節を唱えた。
『やがて、シルウィクがウェスタを建国し、初代の王となると、
王族の名に、シルウィクを冠し、
神官長の名に、シルウィアを冠することとなった。
これが、ウェスタの創世を記す物語である』
誰も、何も、言わなかった。
地を埋め尽くすほどに人がいるのに、コトリという物音さえしない。
マルスも、ロカも、ラウススも。
誰一人として、この場の空気を断ち切ろうとするものはなかった。
静寂を破ったのは、一人の女のすすり泣きだった。
「うっ、うう・・・。申し訳ありません」
隅に立っていたその女は、泣き始めると、地面にうずくまった。
「私は、私は、レア様に助けていただいた恩も忘れ。うぅ・・・」
レアには、その声は届かなかったが、その女の顔は良く覚えていた。
それは、レアが施薬を任されるようになった頃、食あたりになった子供を抱えて、施薬館を訪れた女だった。
嫌がって、薬を飲まなかった子供。
レアが薬草の改良を始めたきっかけを作った女だった。