国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
月明かりに照らされた、曲線を描く細い肩。
マルスは、鬼神を思わせる形相で、石塀への階段を上りきると、息をのんだ。
目の前の民衆が、みな、真剣な表情で、レアの暗誦に聞き入っている。
いや、聞きほれたと言う方が、しっくりくるかもしれない。
何かに取り付かれたように、レアを見つめる無数の瞳。その瞳に、敵意はない。
月に照らされて、きらきらと光る、何千、何万というそれらの輝きは、
まるで大きな一つの生物のようだった。
・・一体、何が起こった?
一部始終を見たはずの兵士に聞けば、すぐに判明することだろう。
だが、この張り詰めた空気の中で、マルスはとてもそうすることができなかった。
自分のすぐ後ろに立つ父も、そして、後から遅れてやってきたホーエンもマリカも。
誰も、彼女の語りを止めようとはしなかった。
やがて、月がゆっくりと角度を変え、空が白み始めても、誰一人、その場を離れるものはなかった--。