国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
レアは、女が、具合が悪くなったのかと思った。
夜を徹して、自分の暗誦に付き合ったのだ。体力のない、年寄りや、女にはきつかったはずだ。
「待っててください。今そこへ行きますから!」
レアは、声を張り上げると、きょろきょろと周りを見渡した。
一瞬、マルスと目が合ったが、すぐに逸らした。
見張り台にいる兵士を見つけると、駆け寄った。
「すみませんが、水をください」
「え?あぁ、はい。どうぞ」
レアは、見張り台に用意していた、小さな水差しと椀を手に取ると、
そのまま石段を降り、門の内側に立った。
「すみませんが、ここを開けてください」
兵士は、ぎょっとした。
この女、頭は大丈夫だろうか?
ここにいる民衆が、自分を殺しに来たのだと、ちゃんと、わかっているのか。
門など開ければ、人々が、この王宮へなだれ込んで、王もろとも殺されるではないか。
だが・・・。
「開けろ」
低い声で命じたのは、ほかならぬ王その人だった。
「は、はい」
兵士は、お互いの顔を見合わせながら、ぎこちない動きで、マルスの言葉に従った。