国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
ゆっくりと開かれたマルスの瞳は、レアの瞳と重なってはいたが、焦点が定まっていないようだった。
「・・・レア?」
「マルス様」
レアは、夢を見ているのかと思った。
昔と少しも変わらぬ、低い艶やかな声。
このまま、死んでもいいと思えるくらいの。
「マルスさ・・・きゃっ!!」
いきなりマルスに腕をひかれ、レアは、その胸の中にすっぽりとおさまってしまった。
寝ているマルスの上から、覆いかぶさるような格好で。
「マルス様!は、離して下さい!」
マルスは目を閉じたまま、レアの背中と腰に手を回し、きつく抱きしめたまま動こうとしない。
病人とは思えない、たくましいその腕で。
レアがマルスの胸の中でもがいていると、震える声が降ってきた。
「レ、ア」
それは、聞き取れないほどに小さく掠れた声。
「今日の夢は、すばらしいな。
いつもは、お前を抱きしめるとすぐに消えてしまうが、ぬくもりまであるとは。
ウェスタの神が、最期に俺の願いをかなえてくれたらしい」
消え入りそうな頼りない声は、“最期”という言葉に、信憑性を持たせる。
レアは、体を起こして彼の顔を見つめた。
「マルス様!これは、夢ではありません。どうか、お気を確かに持ってください。
私です。レアです!」