国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
自分の体が陰になり、レアには、マルスの表情を読むことはできなかった。
「一体、どうなさったのです?弱音を吐くなんて、あなたらしくありません。
病なら、私が治療いたします。必ず、治してみせますから。
だから、だからどうか最期だなんて、不吉な事をおっしゃらないで」
あふれたレアの涙が、ぽとり、と落ちて、マルスの頬を伝っていく。
「本当に、治してくれるか?」
力ないマルスの微笑みに、レアは、精一杯の笑顔を作った。
「もちろんです!なんでもします。だから、早く良くなってください。
あなたの、息子のためにも!」
言うつもりのなかったナナスのことまでも、思わず口にしてしまうほど、マルスは弱弱しく見えた。
「息子?」
「はい。私たちの、息子です。10年前のあのときに、授かった子供です。
そのおかげで、私はこの10年を、生きぬくことができたのです」
レアは少しでも、マルスに気力を取り戻してほしかった。
いまだ、マルスに妃がいないということは、聞いていた。
当然、跡継ぎもだ。
ナナスを権力争いに巻き込みたくはないが、今はマルスを回復させる方が、はるかに重要なことに思えた。