国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
それから、ひと月後(のち)のこと。
歴代の王としては、類を見ない小さな結婚式が、ウェスタ神殿でとり行われた。
初婚の王の年齢が、三十路というのも、歴代最高であれば、
その相手が、奴隷出身の巫女ということも例がなく、
王が、神に一夫一婦制を誓ったことにいたっては、特に前代未聞であった。
また、世に存在を知られていない、10歳の跡継ぎがいたことが判明し、
国中が祝福の雰囲気一色に沸き立った。
その話は、遠くレアの父、ヌミトルの耳にも入ったが、彼は相変わらず酒に溺れていて、
王妃になる女が自分の娘などとは、思いもよらないようだった。
それとも、同じ名前の娘がいたことなどすっかり忘れ果てていたのだろうか。
この、ウェスタの王と王妃を娶わせた最高の功労者は、そのことを知らぬまま、
堕ちるところまで堕ちる人生を、歩む羽目になりそうだった。
それもまた、運命付けられた、何かしらの意味があることなのかもしれなかった。