国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
同じ頃、北の地でも、祝福の祭りが開かれていた。
大勢の者たちが、無礼講で食事や酒にありついている中で、ひそひそと話し合う男女の姿があった。
「本当に、レアさんに会いに行かなくてよいの?ラウスス」
「君こそ、兄王に会いたいんじゃないのかい?」
ラウススは、からかうような口調で、片目を瞑る。
「もうっ!意地悪なんだから。
お兄様のことは、たんなる憧れだったって、わかったと、前にも言ったでしょ。
今は・・・、あなただけなんだから」
すねたように俯く妻の額に、軽く口づけて、ラウススは彼女をそっと抱きしめた。
「悪かった。僕も、今は君だけだよ。ディスコルディア」
王の妹を娶り、この地の地方官に任ぜられたラウススは、寒さに強い果樹の栽培に力を入れ、
庶民派の官吏として、この地の人々に愛されていた。
「いつか、二人で一緒に会いに行こう。僕たちの兄弟にね」
「三人で、でしょ」
ディスコルディアは、まだ目立たぬ腹を撫でながら、幸せそうに微笑んだ。