たんぽぽ
 しかし、やることはやっていた。

 そんな好きでもない「彼女」を次々と抱いていった。

 女を抱くのは簡単だった。普段、素っ気ない態度をとっていて彼女の機嫌を損ねても、そうすることにより何もなかったかのようにすることできたし、別に僕自体、嫌いでもなかった。

 向こうから求められても拒むことはなかった。

 今思えば、僕はそうしてすき間の開いた心を埋めていたのかもしれない。

 また、僕は人に気を遣うのにも慣れたものだった。毎日のように知らない人と出会っていたので、その人達と上手くやっていくために身についたことだった。

 そうしているうちに女の子は向こうから自然と寄ってきた。

 「彼女」とはいつも、僕の部屋で会っていたのだが、毎日のように女を部屋に連れ込んでいたのでとうとう女子禁制のリボン館のおばさんに見つかってしまった。

 始めのうちは軽い注意で済んでいたが、僕はその忠告を無視して、懲りずに「彼女」を部屋に呼び続けていた。

 そして、ついには退室勧告を言い渡されてしまう。

 リボン館のおばさんは僕の母親に気を遣ったらしく、退室の理由を「女を部屋に連れ込んだため」ではなく、「毎晩深夜に続く麻雀のため」としたようだった。

 なぜなら、よく母親から「深夜の麻雀をやめなさい」と怒りの電話をもらっていたが、「女を部屋に連れ込むな」とは言われていないからである。

 僕は確かに、よく友達を部屋に呼び、麻雀をしていた。そして、そのこともよく注意されていたが、僕には退室の理由が「女を部屋に連れ込んだため」ということをはっきりとわかっていた。

 僕の母親は、僕が高校生になり、あまり学校に行かなくなったのことも心配し、いい機会ということで、僕を寮に入れることにした。

 もっとも母親は僕が学校に行かなくなった原因を僕が夜、友達を部屋に呼び夜中まで遊ぶせいで朝起きることができないとだけ思っていたようだった。
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