澄んだ瞳に



車に乗ると、淳は、タバコに火を着けた。



「旅行手配したから…」



「ありがとう…どこに行くの?」

と、お礼を言って、淳に行き先を聞いた



「お前とゆっくり、のんびり出来るとこ…」


それだけじゃ、わからない…


遊園地の時のことを思い出した…そして、淳に聞いた


「また、内緒……?」



すると、淳は言った


「そだな……でも、これだけは、伝えとくよ……」



「何…?」



「悠哉たちも一緒に行くことになってっから……」


悠哉たちも…ということは、もちろん智香も含まれてるのだろう……


私は、みんな一緒なら、一層楽しくなると思ったが、淳と二人きりじゃないことに、少し寂しさを覚えた…


「…そうなんだ…」


今の気持ちが声に出てしまっていた…


すると、淳が言った。


「出張のことは、聞いてるか…?」


そう言えば、来月に入ったら、また長期の出張に行くって言ってたっけ…


それで、智香に寂しい思いをさせるって、言ってたのを思い出した…



「来月からの……?」


と、淳に聞いた



「あ〜…しばらくは、あいつら逢えないだろ?だから、少しでも一緒に過ごせたら…と思って……」


私は、思った……


淳は、何て大人なんだろ…

お兄ちゃんたちのことまで気を配っているなんて…


それとは反対に、私は自分のことばかり考えてる…


淳と二人じゃないことに、寂しいと感じた…


そういう自分が情けなく思えてきた…


「私……」


と、言いかけると、淳が言った


「これからは、いつだって二人で行ける……今回は、悠哉たちのためだと思って…な?」


淳は、やっぱり私の気持ちに気付いてくれてる…


私も、淳の気持ちに答えるように言った


「うん…お兄ちゃんたちと一緒だと、賑やかになりそうだね…」


「あ〜……。」


そう言った、淳は、少し微笑んだ…






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