澄んだ瞳に

夏の終わり

―3日目の朝―


今朝は、私の方が先に目が覚めた。
お兄ちゃんが付いてるから、何かあれば、連絡があると思うが、やはり智香のことが気になって、眠れなかった。
隣を見れば、淳は、まだ眠っている…昨夜は夜中に目を覚ますこともなかったみたいだった。
私は、淳を起こさないように、そっとベッドから降りようとした…淳に腕をガッツリと掴まれた。

「あっ、ごめん…起こしちゃったね…」と、淳に謝った。

「澪…キスして?」そう言った淳は寝起きで、顔も声も少しエロい……

キ、キス……?
朝っぱらから、何言ってんの?
それに、キスする時は、いつも淳からであって、私からキスしたことなんかない
「む、無理です…」

「なんで?」

普通、そんなこと聞く?
自分からなんて、恥ずかしいからに決まってるじゃん
「だって…恥ずかしいんだもん…」

ププッ……
淳が吹き出した

何、笑ってんの?
恥ずかしいって言ったら、おかしいの?

「恥ずかしいって…?誰だったかな…外でエッチしたの?」


――――っ!!

それ言うかな〜……

淳だって、周りから見えない場所なんか、ちゃっかり探してたくせに…

「あれ?澪ちゃん、思い出しちゃったのかな?顔が赤いよ…」

えっ?
澪ちゃん?
今まで、ちゃん付けで呼ばれたことないって…
ますます顔が赤くなるよ

別に思い出したわけじゃないんだけど…
淳が急に変なこと言い出すから…

「思い出してなんか、いないもん…」

「まっ、いいや!それより早くキスしてって」

なんか言い方も、いつもと違うから、調子狂うな…

「ぃやだ!!」

「あっ、そっ!!だったら、結婚は愚か、同棲なんて出来ねぇぜ!!」

あっ、言い方が、いつもの淳に戻ってる…

「ど、どうして?」

「教えないっ」

また意地悪を言う…

「じゃ、教えてもらわなくてもいい!!」

なんか、淳に振り回されっぱなし…



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