転んだら死神が微笑んだ
『サカグチ ヤスヒロに関する調査報告書』

『坂口康博。49歳。

………。

家族構成は、妻と娘の3人。

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町にある小さな工場で働いている。

工場は、先代の父親から引き継いだものであり、その父親はすでに他界。母親も、後を追うように、昨年、他界している。

現在、康博氏本人が社長を務めており、従業員は13人。

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仕事内容は、機械の部品の下請けが主であり、それ以外、特に記述することはなし。

ありふれた工場である。

経営状態は、決して良いほうではない。

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しかし、最近、とある噂が広がっている。

康博氏が、新しい精密部品の開発に成功しかけているというものだ。

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もともと、康博氏はそういうことに興味があったらしい。

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先代の父親は、筋を通す堅い人物で、下請け以外のことは一切しなかった。

もちろん、息子の康博氏の行動にも目を見張らせ、させることはなかった。

だが、両親の他界をきっかけに、康博氏は自分の夢をあきらめきれずに、仕事とは別に独自の部品の開発に着手していた。

それが今回、実を結び始めているということらしい。

しかも、その部品は、実にいい出来で使用用途が幅広いと言われている。

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これも噂だが、工夫次第でその部品を使用すれば、新しい武装兵器も開発が可能だとか。

子安 賢一郎氏が関わっているのも、このためかと。

武装兵器の開発を進めている諸外国に内密に国同士で売買すれば、相当の利潤が得られる。

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もちろん、一般向けの製品にも使用が大いに可能なため、表向きにも、この部品の開発には何の問題もない。

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あくまでも、上記の内容は噂であるが、ほぼ間違いないとみて相違ない。

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以上が、今回の調査結果である。』
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