月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
痛むヒジを押さえながら落としたライトを拾いあげ、ブナの木を照らした。
ライトの光の中に浮かんだものを見て、小林巡査は思わず息をのんだ。
そこには血まみれの女がブナの木に背を預けるようにして座っていた。
うつろな目をした女の喉は真一文字にかき切られており、そこから流れ落ちる血が、女の白いイブニングドレスを真っ赤に染めていた。
生前はたいそうな美人だっただろうが、女の顔には明らかな死相が浮かんでいた。
小林巡査はライト光に反射するあるものに目をとめた。
それは血に染まった片刃のナイフ。
それは女の手の中にあった。
女は自らの喉を切り裂いたと思われるナイフを、しっかりと握り締めていたのであった。
ライトの光の中に浮かんだものを見て、小林巡査は思わず息をのんだ。
そこには血まみれの女がブナの木に背を預けるようにして座っていた。
うつろな目をした女の喉は真一文字にかき切られており、そこから流れ落ちる血が、女の白いイブニングドレスを真っ赤に染めていた。
生前はたいそうな美人だっただろうが、女の顔には明らかな死相が浮かんでいた。
小林巡査はライト光に反射するあるものに目をとめた。
それは血に染まった片刃のナイフ。
それは女の手の中にあった。
女は自らの喉を切り裂いたと思われるナイフを、しっかりと握り締めていたのであった。