月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「レミと比べたらどっちが多い?」

「あんたそこ訊く?」

クローゼットにみっしり詰まったブランド品を前にして、あたしはタメ息をついた。

「あ…!?」

以前店頭で見かけたバーキンのバッグを見つけた時、あたしは泣きそうになった。

ものすごく気に入ったのだが、45万という値段をみて泣く泣くあきらめたのだ。

それがこんなとこでお目にかかろうとは…。

「オレ、ブランド物ってよくわからないんだけど」

達郎は情緒不安定なあたしを横目で見ながら

「吉原しのぶの収入でこれらのもん買えるの?」

「難しいわね」

「言い切れる?」

「だってどれも高い物ばかりよ」

あたしは改めて服・バッグ・アクセ等を品定めした。

バーキンのバッグのせいであたしは変にムキになっていた。

ヘコまないのは自分でも大したもんだと思う。

そして自分なりの鑑定の結果は…。

やっぱムリ。

それを告げると達郎はうなずいた。

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