月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「俺は本当にしのぶのことを愛してたんだ!死ぬほど愛してたんだ!それなのにどいつもこいつもバカにしやがって!」

ついに横倉は警部たちの手を振りほどき、あたしに飛びかかってきた。

まさかの展開にあたしは一歩も動けなかった。

しかし次の瞬間、横倉は背中から床に叩きつけられていた。

達郎が横倉の襟をつかみそのまま引き倒したと気付くのに、時間はかからなかった。

大の字になった横倉に、達郎が馬乗りになった。

そしてそのまま横倉のネクタイを締めあげる。

「死ぬほど愛しただ?」

その時の達郎は、見たこともないような怖い顔をしていた。

「死ぬほど愛したのならなんであんたまだ生きてるんだ?」

達郎の問い掛けに答える代わりに、横倉は小さなうめき声をあげた。

そしてそれきりもう、口を開こうとしなかった。

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