月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
しかし横倉の本性は他人を見下し、己の自由にならない人間は排除しようとする、真の自信家とは真逆のものだった。

あたしは先ほどから感じていた不快感の正体が分かった気がした。

うつむいて、笑っていた横倉がふと顔をあげ、あたしと目があった。

「なんだあんた、その顔は?」

横倉の顔から表情が消えていた。

「あんた、俺をバカにしているのか?ふられた腹いせに女を殺した俺をバカにしているのか?」

横倉の豹変ぶりにあたしは戸惑い、無言を返すしかなかった。

しかしそれがなおさら、横倉の感情に火を点けたようだった。

「ちくしょう!」

横倉はそう叫んで暴れはじめた。

岸警部と星野警部補の2人がかりでも押さえきれないほどの、凄まじい力だった。

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