切腹
代官 小島勝栄。
まだ 15歳の城代に 替わり 政治 祭りごとを すべてこなしていると言っても 過言ではない。 事実上の城代である小島が しらすで 裁くのは 珍しい事である。
しかし、相手は 勘定奉行。 町人の関心も 高く、大きな事件である。
小島の腹は 煮えくり返っていた。
そして しらすは 行うものの 沙汰は断首と 決めていた。
小島は 野心はあるが 基本的に 仕事人で 堅物である。酒で ハメを外す事も 女遊びも ほとんどなかった。
故に 女にうつつを抜かし 公金を 横領した八反に 情けをかける気は さらさらなかった。
さらに 八反は勘定奉行である。 城下は上へ下への大騒ぎ 話題は この事件一色である。
小島は この事件を裁くに あたって お通の店の摘発を画策したのだが…店を守ろうとする 豪商たちの圧力に負けて 店に 立ち入る事すら できなんだ。
普通に考えても 店側に 落ち度は ない。
小島は なんとか 騒ぎを 治めるような裁きを せねば…と 考えあぐねたが…沙汰は 断首より重くは できん。
「いっそ。釜ゆで…とかな」
小島は 悩みながら とりあえず 沙汰を下す前に 八反の話を 聞いてみようと決した。
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