プライベート・スカイ
まぁ、確かに。

──なんて、言ってもよかったんだけど、そしたらあの店には行きにくくなる。

レイナの事があるし…また行かなきゃいけない理由もあるし。

面倒だったけど、後のことを考えてオレは答えた。

「それほどヒドイ店じゃなかったですよ。レイナにもきっちり謝ってもらえたし」

「そうだ、レイナは何だってあんなに青山に絡んだんだ?」

うっ…
ドキッ

「な、なんか店で嫌な事があって…イライラしてたみたいですよ」

「ふーん、そうなんだ」

「らしいですよ」

そう適当にごまかした。そんな嘘っぽい言葉も中川さんは納得したようだった。

「じゃまた連れて行ってもいいよな?」

「はい、あ、あの店気に入ったんですか」

「レイナがな。俺はああいうの好きだなー」

「そ、そうっすか…」

オレは複雑な気持ちになりながら中川さんの話しを聞いていた。

途中で中川さんと別れると、オレは数時間ぶりに携帯を開いた。

…はぁ…

思わずため息。

携帯には三件の着信と、一通のメール。

時間を見ると、すでに11時を回っていた。

…まだ日付が変わってないから、なんとか大丈夫だろう。

オレはそのまま『彼女』の家に向かった。
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