プライベート・スカイ
開いた門をくぐり、玄関を開けると中から声が聞こえた。

「おかえりなさい、透依さん。今日はお泊まりじゃなかったんですか?」

──声の主は母親…ではなく、オレん家に長く勤めている家政婦さん。

「ただいま松江さん。うん、今日は気分じゃなくて。悪かったね、こんなに遅くまで」

「いえ、私はこれから休む所でしたので…あの、透依さん…」

「なに?」

「い…いえ…その…」

何か言いたげな松江さんの様子に、オレはピンときた。

「松江さんのせいじゃないよ」

「あっ、透依さん…」

オレは松江さんの話しも聞かずに自分の部屋へと向かった。

ドアを開けると、思っていたよりも部屋は酷い事になっていた。

ベッドはマットレスまでひっくり返され、隣の三畳ほどのウォークインクローゼットは服が散乱していた。

さらに隣の部屋にあるオレの机も引き出しは開けられ、パソコンも中のファイルが荒らされた痕跡があった。



──泥棒よりタチが悪ぃよ。


荒らされた箇所をアチコチ見ていると、後ろから急に声がかかった。

「あれっ、透依?帰ってたの」

「佳依(かい)…」

「いつもの'家宅捜索'だよ。今回も薬物は出なかったらしいね?」
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