プライベート・スカイ
オレは怒る気力もなかった。
'いつものこと'だからわかってた事だし、単に片付けが面倒だなって思うくらいで。

「'いつもの'にしては今回はちょっと酷いだろ。佳依、お前の部屋も今回は念入りだったのか?」

「いや、それほどでもないよ。俺はホラ、透依と違って親父に信用あるから」

「…あっそ」

佳依は優越感たっぷりでオレを見下した。

そんな佳依を、オレは親父以上に嫌いだった。

今だってさ、自分とオレとの扱いの差を認識させたくて用もないのにワザとらしく部屋に来てみたんだぜ。

ホント…ウザい弟だよな。

「片付けなんか後、後。オレ風呂入るわ」

「片付けなんかしたってまた家宅捜索されるもんな」

佳依はイヤミたっぷりに、自分の部屋へ戻っていった。

オレは再度、部屋を見回すと、ため息をつきながら風呂に入りにいった。





あーあ…
家宅捜索するのは構わないけど、片付けくらいしていってくれよな…面倒なんだよ。

いくら探したって、オレの部屋から薬物なんて出てこねーって、いい加減学習してほしいもんだ!

親父の用心深さにイライラする。
自分の地位を守る為なら、家族だって信用しないんだから。

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