プライベート・スカイ
オレは小さい頃から、家を継ぐんだと自分でも思っていた。

──将来の夢は?

と聞かれたら、迷わず『お父さんの後を継いで社長になる』と答えるような。

子供の時はそれなりに教育を受けてきたし、勉強だって頑張ったし…クラスや友達をまとめる役も率先してやった。





でも
オレはどれも一番にはなれなかった。

どれほど頑張っても、勉強はクラスで10番目くらい。
スポーツもイマイチ。

生徒会会長に立候補しても落選。
代わりに当選するのは佳依だった。



──そうだよな…

頑張っても'出来ない'オレより、なんでも'出来て'一番になれる佳依を、親父が可愛がるのは当然だった。

親父とコミュニケーション取るのも、佳依の方が上手かった。



『やっぱりこの家は透依じゃなく、佳依に継がせるのが正解だろうな』



親戚が集まる中、そう呟いた親父の言葉を忘れられないでいる。

それが悔しいからか、オレはいつまでも親父に認められたくて頑張っていた。

仕事とか、目に見える実績を上げてやるって。

親父が本当に必要とするのは、佳依ではなくオレなんだ。



いつか見返してやる。

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