プライベート・スカイ
「そこで見てなさいよ!!」

女はそう言ったかと思うと、そのまま勢いよく近くの橋から身を投げた。

──!?

はっ、何?!
今そこから飛び降りたよな!?

予想もしていなかった光景に思わず自分の目を疑った。

一緒にいた男が慌てて女が飛び降りた辺りを覗いていた。

オイオイ…これってヤバくねぇ?

幸い下は川だったけど、それにしても橋からかなりの高さがある。

死んだのかもしれないと思い、オレも気になって近くまで見に行った。



男と同じようにオレも下を覗くと、女が水面から顔を出す所だった。

「お前何してんだよ?!バカじゃねーの?」

さっきまで不安そうな顔をしていた男は、彼女が無事で生きていたと知ると急に態度を変えたようだった。

下から女が叫ぶ。

「私は貴方の為なら何だって出来るの!!愛してる…!」

「お前なんか好きじゃねーよ!!もう会いに来るな!!じゃあな!」



そして男は彼女を助ける素振りを見せるわけでもなく、普通に歩いていった。

「お、おい…アンタあの彼女は助けないのか?」

「はっ?なんだお前」

「オレはそこでたまたま見てただけだけど…」

「助けたきゃお前が助けたら?」
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