イジワルな恋人
「おまえが決めろ」
「―――……」
亮は、今まで見たことのないような『男』の顔をしていた。
「……解消って」
解消したら……
今までみたいに亮に会えないんだよね……?
当たり前に一緒に帰ったりとか……、できないんだよね?
ケータイだって……おそろいにしたのに。
まだ1回もかけてないのに……。
お弁当だって……。
……それに、もしこの関係が解消されたら。
亮はもう、笑いかけてくれない―――……?
そんなの―――……、
「……やだ」
本音が、声になって溢れる。
言葉と一緒に、涙がこぼれ落ちて頬を伝う。
「……ん?」
あまりに小さな声だったからか、亮が優しく聞き返す。
「……、」
子供をなだめるように、優しい微笑みを浮かべる亮を……あたしは涙の浮かぶ目で見つめていた。
……嫌だけど。
亮と会えなくなったりするのは嫌だけど……。
だけど、あたしはきっと亮の気持ちには答えられない……。
だって、ずっと決めてきたんだもん……。
恋はしないって……、決めてきたんだから。
……気持ちに答えられないのに、
亮を引き止める資格なんてあたしには―――……。