イジワルな恋人
「あ、俺、亮の友達の関 武史! よろしくね」
武史に差し出された手に、奈緒が俺を見上げる。
「……大丈夫だよ。バカだけど嫌なやつじゃないし」
それを聞いて、奈緒が戸惑いながら武史の手を握った。
「……噂、本当なんだね。男苦手だって。
……亮は大丈夫なの?」
「あ、はい。慣れて、相手を信頼できればわりと大丈夫なんですけど……。
すみません」
奈緒が申し訳なさそうに言うと、武史が笑って答える。
「ううん。じゃあこれからじゃんじゃん話しかけるから、俺にも慣れてね」
武史の明るい笑顔に、奈緒も安心した顔を見せた。