イジワルな恋人
「……なんかあんのか?」
亮が不思議がるのも無理はない。
亮は、あたしが『特待生』を気にして、学校を休まないようにしてるのを知ってるから。
体調が悪くても休まないあたしを、亮は少し納得いかなげに見ている事もあった。
今ではあたしの頑固さに諦めてるみたいだけど。
「……月曜日はお父さん達の命日なの」
亮の視線を受けながら、少しだけ微笑んで見せた。
“命日”
それは……、事件があった日を意味していた。
「……もしかしたら、ニュースで取り上げられるかもしれないから。
なんかね、ストーカー規正法が出来てすぐの事件だったから、当時は色々騒がれて……。
もうそんな騒ぎにはならないだろうけど……念のため」
うつむきながら微笑むあたしに、亮は何も言わずに手を伸ばす。
亮はあたしの頭をぽんぽん、と二回叩くように撫でてから、あたしの手をとって歩き出した。
撫でられた頭から、繋いだ手から、亮の優しさが伝わってくるみたいだった。