イジワルな恋人


『奈緒ちゃん。

こんなふうに手紙にするのは初めてですね。
どうしても伝えたい事があって手紙にしました。

言葉で言うと、うまく伝えられない気がして手紙にしました。
奈緒ちゃんのお母さんが、奈緒ちゃんがお腹にいる時に話していたことです。


奈緒ちゃんのお母さんが、お父さんに出会ったのは高校生の時でした。ちょうど今の奈緒ちゃんと同じくらいです。

幸せな素敵な恋だったと、私の目から見てもわかりました。
そして奈緒ちゃんがお腹にいる時、お母さんは私にこう言いました。

『この娘には私みたいな素敵な恋をしてほしい。
そしてこの娘が恋をした時、私とお父さんの事を話してあげたい』


残念ながら、お母さんが奈緒ちゃんに話すことは出来なくなってしまったけど……。

でも、私は思います。
そんなに素敵な思い出なら、二人の秘密でもいいんじゃないかって……。

恋に答えはないけれど、奈緒ちゃんなら幸せな答えがだせると思います。
お母さん達に負けないような、素敵な恋をできると思います。
先日の奈緒ちゃんを見て、そう思いました。

お母さん達に自慢できるような、素敵な恋をして幸せになってください。
きっとお母さん達も同じ気持ちです。
奈緒ちゃんが幸せになることを、みんなが願ってます。


あと、これは私から。

奈緒ちゃんと暮らした三年間はとても楽しいものでした。
奈緒ちゃんと一緒に過ごせて、私はとても幸せです。
これからも、奈緒ちゃんの成長を心から楽しみにしています。
これからも二人だけど、仲良く過ごそうね。


おばあちゃん』



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