イジワルな恋人


『奈緒ちゃんへ』

……おばあちゃんから?


筆跡からそれが分かって、毎日会ってるのに手紙なんて、と、首をかしげる。



おばあちゃんは、今朝朝ご飯を食べた後お墓参りに出かけていた。

4駅くらいの距離にあるお墓には、あたしのお父さんとお母さんと健兄、おじいちゃんが眠っている。


あたしも行こうと思ったけど、学校を病欠で休んでる手前、やめた。


もしクラスの子に会った時、説明するのが面倒だと思ったから。

秘密にしているわけでもなかったけど、特別仲良くもない子に簡単に話せる話でもない。


梓にだって、なかなか話せないでいるのに……。



……なんだろう。


初めての手紙に戸惑いながら、手紙の封をきった。








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