イジワルな恋人


「……去年、お墓に来てくれたんですか?」


中澤先輩が振り向いて、少し微笑んで答える。


「ああ。……三年前のあの事件は、俺にとってもかなり大きな出来事だったし……それに、責任も感じてるから。

お墓参りするくらいで罪を償うつもりなんてないけど、俺にできるのはそれくらいしかないから……」

「……責任?」


あたしが漏らした言葉に、中澤先輩は悲しそうに微笑んで……視線を伏せる。


「あれは……、俺が水谷に告白したせいだから……。

ずっと後悔してたんだ……。なんであの日、水谷に告白したんだろうって……。

少しでもずれてれば、きっと、こんな事には……」

「……中澤先輩」


どんどん曇っていく中澤先輩の表情に、胸が詰まる。



……中澤先輩も、

ずっと責任を感じてたの……?



この三年間……、

ずっと―――……?



「……俺があの日、水谷に一緒に帰ろうって誘わなければ……そうすれば、こんな事にならなかったのに……。

本当にごめん……」




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