イジワルな恋人


「……調べたんだ」

「えっ、すごい! そんなの調べられるんだ……。

やっぱりお金があるとすごいんだね」


素直な感想を言うと、亮は一瞬顔をゆるめて……でも、またすぐに真剣な表情を浮かべた。


「その間の事で、覚えてることは?」

「……何も覚えてないんだ。でも……」

「おまえ、その間に川口に会ってるんだ」


亮の言葉に……あたしの時間が止まった。


降り続く雨の音が、やけにうるさく響く。

亮の真剣な瞳が、心配からか小さく揺れていた。

黙ったままのあたしに、亮が続ける。


「……佐伯、川口の親戚なんだ。で、こないだ聞かされたんだけど」

「え……親戚って、佐伯さんが……?」


思いがけない言葉に聞き返すと、亮はまっすぐにあたしを見たまま頷く。


「じゃあ、佐伯さん、あの事件の事も……知ってるんだよね? 

あたしがその事件の被害者だって事も……?」

「ああ」

「……そっか。そうだったんだ……」


信じられない気持ちのままうつむくと、亮が心配そうな顔をして覗き込む。

その顔がまだ不安を浮かべているのが分かって、亮が言いたい事が別にあるんだって事が分かった。


眉を寄せてつらそうにあたしを見る姿に、亮の心配が伝わってくるみたいだった。


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