イジワルな恋人
「ねぇ、そんな無視しないでよー」
歩くスピードを速めた時、1人の男に後ろから腕を掴まれた。
……―――っ!!
男の行動に、身体全部が強張る。
「離し……っ」
「いって……、ちょっ……」
あたしが言い切る前に、男が苦痛に顔を歪めた。
不思議に思って恐る恐る視線を上げて……そこでようやくその理由が分かった。
男の腕を捻りあげる亮が、怖い目で男を見下ろす。
「……触ってんじゃねぇよ」
突然現れた亮に男が逃げ腰になったのがわかった。
「べ、別に無理矢理じゃないし!
その女が誘うような態度とるのが悪いんだろ!」
男が捨て台詞のように吐いた言葉に、あたしと亮の顔が強張る。
視界の隅で、亮の拳に力が入っていくのがわかった。
足も一歩、男に近づいて……。
そんな敵意むき出しの亮に気づいて、なんとかして止めなくちゃって思う。
だけど、あたしのいう事なんかきっと素直には聞いてくれないし……。