イジワルな恋人


「ねぇ、そんな無視しないでよー」


歩くスピードを速めた時、1人の男に後ろから腕を掴まれた。


……―――っ!!

男の行動に、身体全部が強張る。


「離し……っ」

「いって……、ちょっ……」


あたしが言い切る前に、男が苦痛に顔を歪めた。

不思議に思って恐る恐る視線を上げて……そこでようやくその理由が分かった。

男の腕を捻りあげる亮が、怖い目で男を見下ろす。


「……触ってんじゃねぇよ」


突然現れた亮に男が逃げ腰になったのがわかった。


「べ、別に無理矢理じゃないし!

その女が誘うような態度とるのが悪いんだろ!」


男が捨て台詞のように吐いた言葉に、あたしと亮の顔が強張る。

視界の隅で、亮の拳に力が入っていくのがわかった。

足も一歩、男に近づいて……。

そんな敵意むき出しの亮に気づいて、なんとかして止めなくちゃって思う。

だけど、あたしのいう事なんかきっと素直には聞いてくれないし……。



< 50 / 459 >

この作品をシェア

pagetop