イジワルな恋人
「……おまえ何やってんだよ!」
初めて聞く亮の怒鳴り声に肩を竦めると、それに気付いた亮は、声色を落ちついたトーンに変えた。
「……何声かけられてんだよ」
「だって……、そばにいると落ち着かないって言うから……」
「だからってあんなやつらにナンパされてんじゃねぇ。
……おまけに殴るし。俺が殴ってやろうと思ってたのに」
「……だって亮が殴ろうとしてたのがわかったから。
亮が殴ったら問題になるけど、女に殴られたなんて人に言えないかなって……。
昨日もあたしのせいでケンカしたのに、また、なんて嫌だったんだもん……」
あたしの言葉を聞いて、亮がくるりと背中を向けた。