~ワタシと君と~
すると、彼が
「作れる?」
と聞いてきた。が、わたしは料理などとは無縁だった。全て料理人が作っているから、わたしは包丁すら手にしたことがないからだ。
首を横に振る。
「……ふ~ん、作れそうな顔してるけど。まっいいや、そんじゃまずは、作ったメシを運んだりしてもらうからな。丁度人手不足だったんだ。若いヤツばっかで食うの速ぇからね。さっそくやって……っと、そうだそうだ、その前に服だな。来な」
そう言うと、彼は厨房のドアを閉め、反対側の、赤で縁取られたドアを開ける。
すると中には、服が床に散らかし放題。その中へ、彼はためらうことなく入っていき、何やら漁りだした。
その様子をただ見物しているわたしは、何をする訳でもなく、{おそらく}着衣室{であろう場所}の汚さに驚いていた。
「おっ、いいの発見~。丁度女物じゃん。おい、ちょっとこっち来て」
足を踏み入れることに抵抗があったが、思い切って一歩進む。しかし、次の足のやり場がなく、再度進むのをためらう。
「……はぁぁ。踏んじゃっていいから、早く来いよ」
「わ、分かってる」
彼の方へ向かうと、服を差し出してきた。
「これ、一応着がえて。今のあんたの服じゃさすがにね」
…………。確かに今のわたしの服装は、海水浴だったということもあり、水色のキャミソールの上に、薄い生地の白いはおりと、下も白いスカート付きの水着だった。
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