その手に触れたくて

掴んでいた隼人の左手の拳が相沢さんの居る隣の扉に直撃していた。

まさに一瞬の出来事にあたしの身体も相沢の身体もビクッと飛び上がった。


隼人の拳は血が滲みあがったみたいに血管が浮き上がってて…

隼人の表情もますます曇っていく。


初めて見る隼人の怒りにあたしの身体は硬直して動く事すら出来なかった。


ピリピリとした空気が張り詰め、隼人の眼力があまりにも怖くて、周りにいる人達が身を引いていくのが分かる。


そんな空気の中、割り込んできたのは、


「何してんの?…隼人」


夏美の声だった。

視線を夏美に送ると夏美は隼人をジッと見ていて、


「場所考えなよ。皆引いてる」


隼人が怒る事、間違いなしの言葉を言った。


「うっせぇ!!お前には関係ねぇだろうが!!」


案の定、隼人の怒りは最高点に立ち、隼人は夏美を睨み付ける。


「関係ねぇ奴に言われたくなかったら場所考えなよ」

「あ?」


平然と言う夏美に低く呟いた隼人は眉間にシワを寄せたまま相沢さんから夏美に視線が向くのが分かり――…


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