その手に触れたくて
「だーかーらー、夏休み何処行くって聞いてんの?」
目の前に居る夏美は頬を膨らませてあたしに視線を向ける。
「あ、うん」
「だからどーする?何処かに行こうよ」
「うん」
「うんって、美月さっきから“うん”ばっかじゃん」
「あ、ごめん」
「その言葉も聞き飽きたー」
そう不満げに呟く隣で相沢さんはクスクス笑う。
相沢さんには隼人との事をちゃんと告げた。色々と協力してもらったし助けてもらったから、夏美からではなくあたしの口からちゃんと伝えた。
もちろん初めは凄く驚いていたけど、相沢さんはその事について何も言わず真剣に聞いてくれた。
だから、あたしを一人にさせない所為か、夏美と相沢さんはよくあたしを誘ってくれる。
「まぁ、そう言いながら結局はダラダラと過ごすんだよねー…」
グラスに入っている氷をストローで突く相沢さんは深く息を吐き捨てる。
「だよね。なんか毎年そんな感じだもんね」
「ま、それもいいけどさ」
「じゃあ暇なら誘ってね、あたし毎日暇だから。ねー、美月もだよ」
「……」
「おーい、美月?」
「え、あ…うん」
「反応おそーい」
「あ、ごめん」
「また謝る」
「ごめん」
「ほら、また」
そう言いながら笑みを漏らす夏美の隣で相沢さんもあたしに笑みを向けた。