その手に触れたくて
冷たい風とともに首の後ろがジンジンと痛む。
引きちぎった所為で首の後ろがキレてんじゃないかってほどにヒリヒリ痛む。
寒い夜空の下。
あたしは真っ黒に染まる空を見上げて一息吐いた。
会いたくてどうしようもなかった隼人。突き離されているその行動に胸が痛んだ。
あたしから行ったのに、突き離してしまったのはあたしの方かもしれない。
「…何やってんだろ」
漏れる言葉は本当に情けない言葉。
皆が言う通り、本当にもう忘れなければならないのかも知れない…
まだ終電の時間まで達していない時間。あたしは悴んだ手を擦りながら電車に乗り最寄りの駅まで向かった。
そこから家に帰るまではっきし言って何も考えていなかった。と言うか考えすぎてもう何も覚えていないような感覚だった。
このまま…
このままいっそ真っ暗な夜空に消えてしまいたい。
ただ、
今…
願うのはその事だけだった。