その手に触れたくて

またまたドクンと胸が高鳴った。

「えぇっ?」って言う相沢さんと夏美の驚いた声がハモル。


ドクンと胸は高鳴ったけど、だから何?ってのが率直の答え。


「なぁ…会いに行ったんだろ?」


再度聞かれた言葉と同時に剛くんの眉間に皺が寄った。

ほんと、めんどくさいって感じなんだろうか。


「ねぇ、ちょっ、ちょっとどうしたの剛…」


困惑気味で割り込んできた相沢さんの声。

あたしと剛くんを互いに見る相沢さん。


だけど、


「お前には関係ねぇ」


剛くんはトゲのある声で言い放った。

相沢さんは少し表情を崩し小さくため息を吐き捨てる。


なんだか相沢さんにまでも申し訳なくなってしまった。

だから、


「行きました。でも、もう関係ないですから」


キッパリと切り裂く様にとあたしは剛くんに向かってそう吐き捨てた。

だって、ほんとにもうどうでもいい。

もう、隼人の事なんてどうでもいい。


このまま全てを忘れたら楽になりそうだから…

< 555 / 610 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop