その手に触れたくて
「そっか…」
「何で美月、言ってくれなかったの!?ねぇ、美月?」
相沢さんが小さく呟いた後に夏美の少し張り上げた声が耳に届く。
俯くあたしに、
「ごめん美月ちゃん…あたしが諦めなって言ったからだよね…」
申し訳なさそうに声を出す相沢さんは小さくため息を吐きだした。
別に、相沢さんの所為でも夏美の所為でもなかった。
ただ、迷惑を掛けるのが嫌だっただけ。
「でも…もう無理じゃない?隼人…何してんの、ホントに…」
夏美の呆れたように話す口調に胸が痛くなった。
もう、訳分かんないよ、隼人…
「剛に頼んでみるよ…」
「……」
ポツンと呟かれた相沢さんの言葉に思わず俯いていた顔が少しずつ上がる。
「美月ちゃん、ホントは隼人を連れ出したいんでしょ?まだ好きなんでしょ?」
言葉を次々に発していく相沢さんにあたしはコクンと頷いた。
「でも、ヤバいんじゃないの?危ないんでしょ?」
夏美は険しい顔をして相沢さんを見る。
「分かんないけど、多少は剛がなんとかしてると思う。アイツ、あんなんだけど根はしっかりしてんだよ」
「でも…」
そうポツンと呟いたあたしの声に相沢さんと夏美はあたしに視線を向ける。