その手に触れたくて
22

もう先の事なんて考えてなかった。

ぶっちゃけ、どうでも良かった。


これで最後にできるのなら最後にしたいと思った。


だって、もう疲れたよ。


気持ちのない隼人を追っかけるのも自分自身に嫌気がさすのも嫌になった。


「美月っ!!」


駅で待ち合わせをしていた夏美が大きく手を振った。

その横には相沢さん。


「ごめん」


申し訳なく顔を下げるあたしに相沢さんは「いいよ」って言ってあたしの手をそっと握った。


「美月、一人じゃ心配だから。3人で行けば怖くないよ。ね?」


ポンポンと軽く頭を叩く夏美。

急いで駆け付けてくれたのか、夏美も相沢さんも制服のままだった。


だけど、そうは言ったものの内心ではソワソワしてた。

また、行ったら絶対に直司達…いや、剛くんに何かを言われる。


でも、それを覚悟の上で行くんだからもうどうでもいい。


口には出さないけど、夏美も相沢さんも怯えてると思う。


ごめんなさい…



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