その手に触れたくて

もう会ってない日から何日経ったのかなんて分かんなかった。

計算するにもはっきしした日にちなんて覚えてなかったし、それ以前に目の前に隼人が居る事自体訳分かんなかった。

辞めたはずの隼人が目の前に居る。

辞めたはずの隼人が何故か制服を着てる…



何で?


「…はい」


突然そう言って目の前に差し出されたビニール袋。


「美月、好きだろ?…メロンパン」


そう言って隼人はあたしの手に袋を握らす。


「…え?…う、うん」

「ちょっとだけ俺に付き合ってよ?」


隼人は少し口角を上げて微笑んだ。

その顔があまりにも懐かしくて“嫌“とは言えなかった。


「…うん」

「悪いな」

「ううん」


あたしに背を向けた隼人はゆっくりと足を進めて行く。

その隼人との距離を離さない様にと、あたしは足を進ませた。


向かう先は第2校舎の2階にある空き教室。

でも2階と言うのは2年の教室が位置する場所で、渡り廊下を歩いてく度に聞こえてくるのは2年の女子生徒の声。


先輩カッコいいだとか、久し振りに見る。だとか何だかしんないけど黄色い歓声が上がる。

その声になんだかあたしの心がシックリとこなかった。


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