その手に触れたくて
「美月…」
笑ってた隼人の顔が一瞬に変わった。
低く小さくそう呟く隼人の表情は真剣で、その変わった隼人を見ながらあたしはゆっくりと首を傾げた。
「うん?」
「…俺ともう一度やり直してほしい」
「…え?」
「こんな事続きで上手く言えねぇんだけど、俺、やっぱお前が好きだわ。美月じゃねーとダメだわ」
「……」
そう言ってくる隼人に何も言えなかった。
だって今更じゃん。
あれだけ本気で隼人が好きで好きでどうしようもなかって、いっぱいいっぱい好きだよって伝えてたのに、上手くいかなくて。
なのに本気で吹っ切れた今…
正直なんて答えたらいいのかなんて分かんなかった。
遅いよ、隼人。
「だから――…」
「ごめん、隼人。正直、今はまだ分かんない」
「……」
「……」
「…だよな」
悲しそうにそう言ったのは隼人だった。
「……」
「美月からしたら今更って感じだよな」
「……」
「ごめん。いっぱい迷惑掛けて」
「……」
「悪かった」
立ち上がった隼人はあたしの頭をクシャっと撫で、悲しい笑みを見せた後、この場から姿を消した。