その手に触れたくて

一人になったあたしはよく分からない気持ちでいっぱいだった。

どうして今更急に現われてそんな事を言ってくるのか。

どうしてあの日、もう一度やり戻せないのかって聞いた時に、いいよって言ってくれなかったんだろう…とか、色んな食い違いが頭の中を彷徨ってた。


どうして、なの?


「美月っ、」


休み時間にあたしの前に現われたのは夏美。

そして、その横には相沢さん。


「よかったね、美月ちゃん…」

「…え?」


良く分からない相沢さんの言葉にあたしは混乱気味にそう呟く。


「隼人。学校、辞めないんだってね。って言っても留年らしいけど」

「…そう…なの?」

「つか美月、さっき隼人と居たんじゃないの?」


不思議そうにそう言ってくる夏美。


「あ、うん…」

「どしたの?」

「え?」

「なんか隼人とあった?」

「え、ううん。何でもない」


咄嗟に作った笑み。

肝心な事を聞くのを忘れてた。制服を着てた隼人。どうしてなのかは聞いてなかったけど、そう言う事なの?


「うわっ、メロンパンじゃん!!」


不意に聞こえた夏美の大きな声にあたしの身体がビクっと上がる。

机の横に掛けていた袋を掴む夏美は、


「隼人から?」


そう言って中を覗き込む。
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