その手に触れたくて
「あ、うん」
「美月最近食べてないから恋しくなってんじゃないの?…--って、あれ?なんかあるよ?」
袋を覗き込んでた夏美は小さな小袋を取り出しあたしに差し出す。
首を傾げながらその小さな袋を掴んだ瞬間――…
“俺が持ってても仕方ねーよ”
雑に書かれた隼人の字が目に飛び込み慌ててあたしは袋を開けた。
「…え?」
…ネックレス。
そこには前、隼人に突き返したネックレス。
袋を逆さにすると、そこから滑り落ちてくるのはずっと肌身離さずつけていたもの。
引き千切った部分がちゃんと元通りに直ってるネックレス。
「何?どうしたの?」
手の平にあるネックレスを見つめるあたしに不思議そうな夏美の声が落ちる。
「あ、ううん」
そう言って微かな笑みを作ったあたしは、それをスカートのポケットに無理矢理押し込んだ。
「あー、そうそうナオが言ってたけどさ、隼人また頑張ってたみたいだよ」
「え?」
「ホントはさ隼人辞めるつもりだったんだけど、響さんが留年してでも卒業しろって言ったんだって。…美月の為にね」
「……」
「それより隼人もよく色んな嘘つけるよね」
ため息交じりでそう言った夏美の隣でクスクス笑う相沢さんは「愛されてるね、美月ちゃん」そう言って微笑んだ。