その手に触れたくて

「何かあった?」

「あ、えっと…」

「隼人なら特別室だけど」


何で隼人を探してたのが分かったんだろうか。

直司はクッと口角を上げて突き辺りを指差す。


「特別…室?」

「うん。まぁ…色んな話でしょ?…多分」

「そっか」

「うん」


さすがに特別室まで行けるわけがない。

だから放課後話そうと思ったのに…




「帰ったよ」


夏美の教室に行った途端、夏美はそう言ってきた。


「え!!帰ったの?」

「うん、ちょっと前に帰ったよ」

「そう…なんだ」


そう言ったあたしは慌てて鞄を抱えて学校を飛び出す。

運悪く自転車で来てなかったあたしはとりあえず隼人の家まで走った。


冷たい空気が頬を掠め、悴む手が自棄に痛む。


ただ、隼人に“ごめんね”って伝えたかった。


「…隼人っ!!」


息を切らして叫んだのは隼人の家の前。

今から中に入ろうとする隼人はその叫んだ声に気づき後ろを振り返る。


「え、…美月?」


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