廃陸の旅団

「良かったのかマリア?」

ロディーの声にはもう憎しみなど籠もってはいなかった。

マリアは慈愛の眼差しでマールを見つめる。

「ええ。だってあなたの言う通りあの子は色んな経験をして成長していたのですから。」

「そうじゃな。憎しみさえも越える慈愛。立派な聖母になられたの。」

2人の目の前ではマールが詠唱を始めていた。

その周りでは、カムイに声をかける者や、手を組んで祈りを捧げるものがいた。

「騎士達にもそれが伝わり広がっていく。」

「憎しみの連鎖を断ち切るのは、こうした強い絆なのかもしれんの。」

「ええ……」

ロディーとマリアは一足先に修道院へと戻っていった。



< 101 / 583 >

この作品をシェア

pagetop